サイン半波長逓減曲線(厳密)
計算のことはさておき、サイン半波長逓減曲線(厳密)の各種数値を紹介します。
曲率が厳密にサイン波の谷から山までの半波長で逓減する曲線について記載します。直線逓減における、三次放物線に対するクロソイド曲線に相当する曲線です。ここではサイン半波長逓減曲線(厳密)と表記します。
円曲線の半径を \(R\) 、緩和曲線で曲がる角度を \(\Theta\) とすると、曲率 \(\kappa\) が、緩和曲線の途中までの道のり \(l\) を使って、
\[ \kappa = \frac{A}{2} (1 - \cos kl) \]となる曲線です。
曲率から積分して導出する為にキリの良さそうなところで展開しようとすると係数がことごとくゼロとなり展開することができません。その為数値積分することで\((x,y)\)座標を求めます。緩和曲線で曲がる長さを \(L\) 、緩和曲線の途中で曲がった角度を \(\theta\) と書くと、
以下、\(l\) を \(s\) で書きなおすと、\(x\) と \(y\) は、
\[\begin{align} x = \int_0^l ds \cos \left[ \frac{A}{2} s - \frac{A}{2k} \sin ks \right] \\ y = \int_0^l ds \sin \left[ \frac{A}{2} s - \frac{A}{2k} \sin ks \right] \\ \end{align}\]円曲線と繋がる部分の曲率は、
\[ \kappa_L = \frac{1}{R} = A \]となります。
緩和曲線で曲がる角度 \(\Theta\) は、\(kl = \pi\) のときの値なので、
\[\begin{align} \Theta &= \frac{AL}{2} \\ %&= \frac{A\pi}{2k} \\ %&= \frac{\pi}{2kR} \\ &= \frac{L}{2R} \\ \end{align}\]となります。なお\(\Theta\)と\(L\),\(R\)の関係式は、クロソイド曲線の場合と同じ値となります。
緩和曲線長 \(L\) は、\(kl = \pi\) を満たす \(l\) なので、
\[ L = \frac{\pi}{k} \]となります。
逆に \(k\) は、
です。
\(\frac{A}{k}\) は、\(A = \frac{1}{R}\) と \(k = \frac{\pi}{L}\) から、
\[ \frac{A}{k} = \frac{L}{\pi R} \]となります。
これらを使って書きなおすと、
\[\begin{align} \kappa %&= \frac{1}{R} \sin^2 \frac{\pi}{2L} l &= \frac{1}{2R} \left[ 1 - \cos \frac{\pi}{L} l \right] \\ \theta %&= \left[ \frac{1}{2R} l - \frac{L}{\pi R} \sin \frac{\pi}{2L} l \cos \frac{\pi}{2L}l \right] &= \frac{1}{2R} \left[ l - \frac{L}{\pi} \sin \frac{\pi}{L}l \right] \\ \end{align}\]以下、\(l\) を \(s\) で書きなおすと、\(x\) と \(y\) は、
\[\begin{align} x = \int_0^l ds \cos \left[ \frac{1}{2R} s - \frac{L}{2\pi R} \sin \frac{\pi}{L}s \right] \\ y = \int_0^l ds \sin \left[ \frac{1}{2R} s - \frac{L}{2\pi R} \sin \frac{\pi}{L}s \right] \\ \end{align}\]Bve trainsimの曲線逓減で使われている曲線は、代用式ではありません。代用式では原理的に90°以上曲がれませんが、Bve trainsimの曲線逓減ではそれ以上曲がることが可能です。なお、曲がる角度に関しては、サイン半波長逓減曲線の厳密な場合と一致していることを確認しておりますが、それ以上の検証はまだできておりません。